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手塚治虫文化賞を受賞した作品なのに、最終回には厳しい声も集まっている。『チ。―地球の運動について―』では、称賛と批判が同じ作品に同居しています。
チ。―地球の運動について―の最終回は、第1章で死んだはずのラファウと同じ名前の人物が再登場し、舞台が史実のポーランド王国へ切り替わって終わります。 この仕掛けが「ひどい」と言われる議論の中心です。
- 全8巻
2022年6月に最終巻が発売 - 第62話
連載約1年7か月で完結 - 4つ
批判の論点|ラファウ再登場ほか
この記事で扱うのは、第62話までの結末のあらすじ、批判が集まる4つの理由、ラファウ再登場の意味、打ち切り説の真偽、アニメがどこまで描いたか、の5点です。
※この記事には『チ。―地球の運動について―』原作漫画(全8巻)の結末に関する重大なネタバレが含まれます。会話に登場する全巻くんはこの記事の案内役のキャラクターです。

賞を取った作品なのに、最終回への不満を検索する人が多いのが意外でした。
批判と称賛が同じ場面に向いている、という話も聞きます。
この批判はどこに向けられているんですか。

批判のほとんどは8巻の最終章に集中しているんだ。
1巻で自ら命を絶った少年と同じ名前の男が、そこでアルベルトの父を手にかける。
第1章から第3章までの評価とは、分けて見たほうがいいね。

アニメは全25話で、第24話から原作の最終章に入るから、結末まで映像で追えるんだ。
Prime Videoの見放題に入っていて、30日間の無料体験があるよ。
第1話から見られる枠を下に置いたから、結末の前に確かめてみて。
チ。の最終回はこう終わった|舞台が史実のポーランドへ移る
最終回の骨子と、批判がどこに向いているのかを先にまとめます。
- 最終章は舞台が1468年のポーランド王国へ移り、実在の天文学者アルベルト・ブルゼフスキの物語で幕を閉じる
- 不満の声の中心は、第1章で死んだはずのラファウと同名の人物が再登場し、説明のないまま物語が終わること
- 評価する声も同じ場面に向いており、作者は意図した終わり方だと語っている
『チ。』は第1章から第3章まで、国名も年代も伏せた世界で、地動説に命を懸ける人々をリレー形式で描いてきました。主人公は章ごとに交代します。
最終章ではその構図が一変します。 年代と国名が初めて明示され、登場人物も実在の人物へ接続される。この転換に驚いた読者の声が、否定的な感想として検索に集まりました。
批判の対象は原作最終章(第8巻)と、それを映像化したアニメ第24〜25話でほぼ共通です。版によって結末が違うわけではないので、どちらから入った人にも同じ論点が当てはまります。
チ。は全何巻で完結した?全8巻・1年7か月の短期連載
『チ。―地球の運動について―』は魚豊による漫画で、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)で2020年9月から2022年4月まで連載されました。
全8巻・第62話で完結しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載誌 | 週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館) |
| 連載期間 | 2020年9月〜2022年4月 |
| 全巻数 | 全8巻 |
| 全話数 | 全62話 |
| 最終巻発売日 | 2022年6月30日 |
| 作者 | 魚豊 |
2022年4月に第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、作者の魚豊さんは同賞史上最年少の受賞者と紹介されました。2024年5月には第18回日本科学史学会特別賞も受けています。
累計発行部数は、小学館集英社プロダクションの2025年2月の発表で500万部を突破しています。TVアニメが2024年10月から2025年3月までNHK総合で放送されており、500万部突破の発表はその放送期間中のものでした。

全8巻というのは、最近の話題作としてはかなり短い印象です。
週刊連載で1年7か月ほどというペースは、読む側からするとどう見えるものですか。

8巻だけは第3章の決着と最終章が1冊に入っていて、ここで空気ががらっと変わるんだ。
さて、ここから先は結末の核心に入る。ネタバレを避けたい君は、この先の章を飛ばしてね。
チ。最終回のネタバレ|結末のあらすじ
ここからは結末の核心です。8巻(第53話〜最終話)には、第3章の決着と最終章の両方が入っています。
- 第3章の決着|地動説の本は世に出たのか
- 最終章|舞台が1468年のポーランド王国に変わる
- ラストシーンの意味|タイトル「チ。」が指すもの
議論を呼んだのは、第3章で託された手紙の行方を描かないまま、舞台ごと史実へ切り替えたことです。
第3章の決着|地動説の本は世に出たのか
第3章の主人公は移動民族の娘ドゥラカで、異端解放戦線のシュミットと行動をともにします。組織の目的は活版印刷で地動説を世に広めることで、その組織長は第2章で天文研究所にいたヨレンタでした(アニメ第19話)。
アニメ第20話で、ヨレンタはドゥラカに「かつてラファウが遺した言葉」の手紙を託します。第1章で死んだ少年の言葉が、ここで第3章の主人公に届きます。
決着は、異端解放戦線とノヴァク率いる騎士団の衝突です(第22話)。
第23話でノヴァクは司教アントニに反旗を翻して教会に火を放ち、炎の中で安否が分からなくなります。ドゥラカも瀕死の重傷を負いました。リアルサウンドの解説は、死に際のドゥラカが伝書鳩に手紙を託して飛ばしたと書いています。
その手紙がどこへ届いたのかは、最後まで描かれません。この「受け取り手を描かない終わり方」が、あとで批判の中心になります。
最終章|舞台が1468年のポーランド王国に変わる
第3章の決着を受けて、物語は最終章へ入ります。ここで初めて年代と国名が明示されます。舞台は1468年のポーランド王国です。 それまでの章では、国名も年代もずっと伏せられていました。
最終章の主人公は、パン屋で働く青年アルベルト・ブルゼフスキです(アニメ第24話)。その少年時代に家庭教師として現れたのが、第1章の主人公と同じ名前の「ラファウ」でした(第25話)。
このラファウは少年アルベルトを学術系のサロンに招き、知的好奇心を何より尊重する人物として描かれます。ところが、帰宅したアルベルトが目にしたのは、共同研究を断った父がラファウに手にかけられた光景でした。
ラストシーンの意味|タイトル「チ。」が指すもの
地動説の完成そのものは、最後まで描かれません。
アルベルト・ブルゼフスキは、のちに天文学者コペルニクスが学んだ大学で教えた実在の人物として知られています。架空の人物たちが命がけで渡してきたものが、史実の入り口へ手渡された、とも読めます。
「誰が地動説を完成させたか」ではなく「知はどう受け継がれていくか」で幕を引いた。 これが『チ。』の最終回です。
チ。の最終回までに生死が描かれた主要キャラ
『チ。』は主人公が章ごとに交代する構成のため、各章の結末で主要キャラの生死が動きます。各巻の内容紹介やアニメの公式あらすじなどで死亡が示されているのは7人です。
スマホでは表を横にスクロールできます →
| 名前 | 登場する章(巻) | 最終回時点 | 判定の根拠 |
|---|---|---|---|
| ラファウ | 第1章(1巻) | 死亡 | 小学館2巻の内容紹介「神童ラファウが自ら命を絶ってから」 |
| フベルト | 第1章(1巻) | 死亡 | アニメ第2話の公式あらすじ「あえなく処刑されてしまう」 |
| ピャスト伯 | 第2章(2〜5巻) | 死亡 | アニメ第10話の公式あらすじ「ピャスト伯の死から数ヶ月」 |
| オクジー | 第2章(2〜5巻) | 死亡 | アニメ第14話の公式あらすじ「二人は絞首台へと上っていく」 |
| バデーニ | 第2章(2〜5巻) | 死亡 | 同上。小学館6巻の内容紹介「命を賭して真理を生き残らせてから25年」も同じ場面を指す |
| ドゥラカ | 第3章(6〜8巻) | 死亡 | リアルサウンドの解説「死に際のドゥラカが伝書鳩に託して飛ばした手紙」 |
| アルベルトの父 | 最終章(8巻) | 死亡 | リアルサウンドの解説。共同研究を断り、家庭教師の「ラファウ」に手にかけられる |
| アルベルト・ブルゼフスキ | 最終章(8巻) | 生存 | 最終章の結末まで描かれている |
| ラファウ(最終章) | 最終章(8巻) | 生死不明 | アニメ第25話はアルベルトの少年時代の場面で、最終回時点の消息を示す資料が無い |
表の話数はアニメのもので、原作の話数とは別に数えられています。
表に載せなかった人は、生死不明として扱っています。これは死亡していないという意味ではありません。
ノヴァク、ヨレンタ、シュミット、アントニ、グラス、ポトツキなどがこれに当たります。ヨレンタについては、アニメ第21話の公式あらすじが「ヨレンタが『地動説』を守るために選んだ、悲しい結末」と書くのみで、死亡とは書かれていません。
とくにノヴァクは、アニメ第23話の公式あらすじ自体が「ノヴァクの安否が不明なまま、教会は火の海に包まれていく」と書いています。
なお、ciatr「『チ。』死亡キャラを一覧で紹介!」(2025年12月8日)は、グラス、ヨレンタ、フライ、シュミット、アントニ、ノヴァクも死亡として紹介しています。
地動説を受け継ぐ側の退場では、何かが次の人へ渡ります。第2話でフベルトは処刑の間際、ラファウに天体を模したペンダントを託しました。
第2章では、第5話で山奥から見つかった古い石箱がオクジーの手でバデーニに届き(第6話)、その2人が第14話で絞首台へ上ります。
退場のたびに物と言葉が次の章へ渡る。 最終章で同じ名前のラファウが現れるのは、この流れのあとです。
チ。の最終回が「ひどい」と言われる4つの理由
批判の中身は一つではありません。解説記事で共通して挙げられる論点は4つです。
| 批判されるポイント | 主な内容 | 評価の対象 |
|---|---|---|
| ① ラファウの再登場 | 死んだはずの人物と同名の男が説明なく現れる | 最終章の導入 |
| ② 史実への急転換 | 架空の世界から実在のポーランド王国へ切り替わる | 最終章の構成 |
| ③ 地動説の完成が描かれない | コペルニクスの物語に入らないまま終わる | 幕引きの位置 |
| ④ 説明不足・伏線未回収 | 手紙の行方などが描かれず解釈が委ねられる | 結末全体 |
4つとも「描かれなかったこと」への不満である点が共通しています。
① 第1章で死んだはずの「ラファウ」が再び現れる
最大の論点がこれです。第1章の結末で死んだはずのラファウと同じ名前・同じ顔立ちの人物が、最終章でアルベルトの家庭教師として現れます。しかも彼はアルベルトの父を殺害する。
ただし、この人物が第1章のラファウと同一人物なのかは、作中で最後まで明示されません。不満の芯は、その説明がないまま物語が終わることにあります。
② 架空の世界から史実のポーランドへ急に切り替わる
第1章から第3章までの舞台は、国名も年代も伏せられた架空の世界でした。それが最終章で突然「1468年・ポーランド王国」と明示され、実在の人物アルベルト・ブルゼフスキが主人公になります。
第23話で伝書鳩に手紙を託したドゥラカの物語の次に、年号の入った教科書のような世界が始まります。第3章までの人物の関係は、最終章には引き継がれません。別の作品が始まったようだ、という趣旨の感想は、ここから来ています。
一方でこの切り替えは、作者の発言と直結している部分でもあります。唐突さそのものが仕掛けである、という読み方もここから成り立ちます。
③ コペルニクスによる地動説の完成が描かれない
『チ。』は地動説を証明しようとする人々の物語です。それなら最後は、地動説を体系化したコペルニクスの登場で締めるはず。そう予想していた読者にとって、本作の幕引きは肩透かしでした。
物語はコペルニクスの手前、のちに彼が学ぶ大学で教えることになる人物の物語で止まります。ペンダント、石箱、手紙と受け渡されてきたものが、地動説の完成という形では報われません。3章まで積んだカタルシスの受け皿がない、という批判です。
もっとも、これは裏返せば「完成の瞬間より継承の瞬間を描く」という選択でもあります。
④ 結末の意味がわからないと言われる理由|考察の分かれ目
4つ目は「意味不明」「説明不足」という声です。ドゥラカが託した手紙はどこへ届いたのか。最終章は前の章と同じ世界なのか。作中では、どれも明確な答えが示されません。
最終章を「前の3章とは別の世界線」と読む説、同じ世界の後日として読む説、フィクションと現実の橋渡しという象徴として読む説などがあります。
リアルサウンドの解説は、この分かりにくさを、読者が作中の歴史を鵜呑みにせず、疑いながら知に関わることを促す構成と読み解いています。答えを配らないこと自体が主題の一部、という立場です。
確かなのは、答えが作中に置かれていないことです。それを不誠実と取るか、余白と取るかで、評価が正反対になります。
ラファウはなぜ最終章で再登場した?同一人物なのか
「チ ラファウ」は、この作品の検索候補で目立つ言葉です。
- 第1章のラファウはどう死んだのか
- 最終章の「ラファウ」は何をしたのか
- 同一人物か別人か、作者はどう語ったか
名前と顔立ちという手がかりはあっても、同一人物だと示す描写は作中にありません。
第1章のラファウはどう死んだのか
第1章(1巻)の主人公ラファウは、12歳で大学進学を控えた神童です。神学を専攻する予定でしたが、地動説を研究する異端者フベルトと出会い、研究に踏み込みます。第2話でフベルトは処刑され、ラファウの手には天体を模したペンダントが残りました。
第3話では、義父ポトツキの裏切りでラファウ自身が捕縛されます。そして第1章の結末で、自ら命を絶ちました(2巻の内容紹介)。
主人公が1巻で退場し、その選択が以後の章の原点になった。 だからこそ、最終章での扱いがこれほど大きな議論になりました。
最終章の「ラファウ」は何をしたのか
最終章に現れる「ラファウ」は大人の姿で、少年アルベルトの家庭教師を務めています。知的好奇心を尊重する語り口は、第1章のラファウを思わせるものです。
しかし彼は、共同研究を断ったアルベルトの父を殺害します。第1章のラファウ像とはかけ離れた行動です。
第1章の彼が「真理のために自分の命を差し出した」のに対し、最終章の彼は「真理のために他人の命を奪った」ように見える。この対比が、再登場を受け入れにくくしています。
名前と容姿のほかに、第1章との連続性は作中で示されません。生き延びたのだとしても、その経緯もあいだの年月も語られないままです。
同一人物か別人か|解釈の割れ方と作者の発言
手がかりになるのは作者の言葉です。魚豊さんはMANTANWEBのインタビューで、最終章について「不思議にしたかったんです。あと、変な嘘をつきたかったというか」と語っています。
さらに「フィクションとリアルは共犯関係で現実を作っていくと考えています」「『解けたら終わり』じゃない、クイズになっていない感じがすごく好きなんです」とも述べています。謎として解かせる意図ではない、という説明です。
作者の言葉から読む限り、ラファウの正体に唯一の正解を用意しない構成は、作者が意図して選んだものと受け取れます。

作者の発言を読むと、わざと答えを一つに絞っていない印象を受けました。
それでも読者として、この再登場を前向きに受け取る入り口はどこにあるんですか。

『同じ人かどうか』を脇に置いてみるのが入り口だとわたしは思うな。
名前と顔だけが受け継がれて、中身がまるで違う。それ自体が、知が伝わるときの怖さの絵にも見えるんだ。
正解を当てにいかず、そう見えた自分の感覚のほうを信じていいんだよ。
登場人物の関係と最終回時点の立ち位置は、相関図の記事で表にしています。

チ。は打ち切りだった?よくある誤解・デマを検証
結末が急に見えることから、『チ。』にはいくつかの誤解や噂が付いて回ります。語られることのある3つの説を、確認できた事実と突き合わせます。
| よくある説 | 実際 |
|---|---|
| 打ち切りで終わった | 最終巻は「堂々完結」と紹介され、完結の年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している |
| 作中の弾圧は史実そのまま | 第1〜3章は国名・年代を伏せた創作の世界。史実の記録をそのまま描いた作品ではない |
| アルベルトは架空の人物 | アルベルト・ブルゼフスキは1400年代のポーランドに実在した天文学者 |
よく語られるのが打ち切り説です。最終章の幕切れが急に感じられることから、人気がなくて畳んだのではないか、という憶測が生まれました。
しかし、編集部・作者による打ち切りの公表は確認できませんでした。 むしろ完結直後の2022年4月に第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、2025年2月時点で累計500万部を突破、2024年10月にはNHK総合でアニメが始まっています。
打ち切り作品がたどる経過とは正反対です。物足りなさの感想と打ち切りの事実は別です。
史実との関係も誤解されがちです。本作はあくまでフィクションとして地動説の時代を再構成しており、最終章で初めて実在の人名と年代に接続します。歴史資料としてそのまま引用できる作りではありません。
アニメ版は原作の最終回まで描いた?第24〜25話と最終章の対応
アニメから入った人が気になるのは、「あの最終回は原作どおりなのか」「続きはあるのか」の2点だと思います。先に答えると、アニメは原作の結末までを描いています。
| 媒体 | 範囲・期間 | 状況 |
|---|---|---|
| 原作漫画 | 全8巻・第62話 | 2022年完結 |
| TVアニメ | 全25話(2024年10月〜2025年3月・NHK総合) | 原作の最終章まで映像化して放送終了 |
| 続編・2期 | 発表は確認できず | 2026年8月時点 |
TVアニメ『チ。―地球の運動について―』は、2024年10月5日から2025年3月15日までNHK総合で放送されました。制作はマッドハウス、連続2クール・全25話です。
原作の最終章にあたるのは第24話と第25話です。 第24話は「1468年、ポーランド王国都市部」から始まり、パン屋で働く青年アルベルトが登場します。
最終話の第25話はサブタイトルが「?」で、青年ラファウに学術系のサロンへ招かれた少年アルベルトが、帰宅して信じがたい光景を目にする回です。
アニメだけを見た人も原作の結末までたどり着いています。「アニメの続きを原作で読む」という追い方は、この作品では発生しません。
続編やスピンオフについては、2026年8月時点で公式の発表は確認できません。 物語が完結している以上、続報の有無は公式サイトや作者の発信を確認するのが確実です。
チ。の最終回を評価する声|ラファウ再登場は欠点か設計か
評価する側が挙げるのも、ラファウの再登場と史実への切り替えです。まったく同じ場面を、欠点と取るか設計と取るかで割れています。
設計と読む根拠になるのが作者の言葉です。
魚豊さんは同じインタビューで「『チ。』を描き始めた段階から、フィクションとリアルの影響をすごく考えていたので、ラストはこうなっていくべきだろう」と語っています。史実への切り替えは、連載の初めから見えていた方向だという説明です。
リアルサウンドの解説も、この結末をフィクションが現実に与える力を描く仕掛けと読み解いています。
地動説の完成を待っていた人には物足りず、ペンダントや手紙が人から人へ渡る流れを追っていた人には、その先が史実へ手渡される終わり方に見えます。
作中のセリフは、どの巻・どの話の言葉かを添えて名言の記事にまとめています。

チ。は今から読む価値がある?賛否を知ってから読む場合
結末の論点を先に知ってから読む手もあります。そのときに見ておきたいのは、どの巻にどの章が入っているかです。
| 巻 | 章 | 中心になる人物と出来事 |
|---|---|---|
| 1巻 | 第1章 | ラファウとフベルト。主人公が1巻で自ら命を絶つ |
| 2〜5巻 | 第2章 | オクジー・バデーニ・ヨレンタ。石箱と「満ちた金星」の観測。いちばん長い章 |
| 6〜8巻 | 第3章 | ドゥラカとシュミット。活版印刷と騎士団の衝突 |
| 8巻 | 最終章 | 1468年のポーランド王国。アルベルトと家庭教師のラファウ |
迷っている人への目安を一つ。第1章の終わり、ラファウの選択の場面まで読んで心が動いたなら、最終章まで走り切って損はありません。 1巻の結末と、8巻で同じ名前の男が現れる場面が対になっているからです。
アニメを見終えた人は、1巻と8巻だけを読み比べる手もあります。

最終章で年号が急に出てきて、別の作品に入ったように感じる人もいそうです。
そういう人は、どんなつもりで読めばいいんでしょう。

答え合わせをしにいかない、という一点だけでいいと思うよ。
ドゥラカの手紙の行方も、ラファウの正体も、8巻を閉じても答えは出ない。
分からないまま持ち帰るつもりで入ると、ずいぶん楽になるんだ。
結末の受け止めが分かれた完結作として、ゴールデンカムイの最終回も検証しています。

よくある質問
まとめ|チ。の最終回と結末【全8巻】
『チ。―地球の運動について―』は全8巻・第62話で完結し、最終回は死んだはずのラファウと同名の人物の再登場と、史実のポーランド王国への転換で幕を閉じました。
「ひどい」と言われる理由は、再登場の説明がないこと、世界の急な切り替え、地動説の完成を描かない幕引き、残された謎の多さの4つに整理できます。
一方で、作品は完結の年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しています。作者自身が「不思議にしたかった」と語るとおり、答えを配らない構成は意図されたものと受け取れます。
評判だけで判断せず、第1章のラファウの選択から自分の目で確かめてみてください。

結末を知ってから第1章に戻ると、ラファウの選択が、最終章で同じ名前の家庭教師が現れる場面と重なって見えるんだ。
最終章の入った8巻だけ確かめる道と、全8巻を紙で揃える道を下に並べたから、合うほうを見てみて。
調査メモ
今回いちばん迷ったのは、ラファウの再登場をどう書くかでした。同一人物とも別人とも作中に判定材料がなく、どちらかに寄せて書けば嘘になります。結局「割れていること自体が事実」と書く形に落ち着きました。
第2章・第3章の最期は、公開当初は裏づけを取れずに保留にしていました。2026年9月にアニメ各話の公式あらすじと各巻の内容紹介を当たり直し、7人ぶんを資料つきで書き直しています。
アニメと原作で結末が同じだという点も、調べるまで確信が持てませんでした。最終話のあらすじとサブタイトルを媒体の記事で確認して、ようやく同じ場面を指していると判断できています。
2026年10月には、アニメ各話の公式あらすじをもとに、最終章が第24話から始まること、最終章のラファウの最終回時点の消息が資料で確かめられないことを直しました。
賛否のどちらが正しいかは、この記事では決めていません。判断の材料をそろえるところまでが、わたしの仕事だと考えています。
参考資料
- 小学館コミック「チ。―地球の運動について― 8 | 魚豊 |【試し読みあり】」※全8巻・最終巻発売日・最終巻の内容紹介の根拠
- 小学館コミック「チ。―地球の運動について― 2」※第1章のラファウの死と、第1章から第2章までの10年の根拠
- 小学館コミック「チ。―地球の運動について― 6」※オクジーとバデーニの退場と、第2章から第3章までの25年の根拠
- あつめでぃあ「【第1期】『チ。 ―地球の運動について―』」※各話の公式あらすじ(フベルト・ピャスト伯・オクジー・バデーニの死とノヴァクの安否の根拠)
- ciatr「「チ。」死亡キャラを一覧で紹介!信念を貫いた人物たちの最期がかっこいい」※本記事が判定に使わなかった解説の出どころ
- BOOK☆WALKER「【最終巻】チ。 ―地球の運動について―【単話】(62)」※全62話(第62話が最終話)の根拠
- PR TIMES(小学館集英社プロダクション)「特別展『チ。 ―地球の運動について― 地球(いわ)が動く』 最新情報第2弾」※連載期間と累計500万部の根拠、部数は2025年2月時点
- 小学館コミック「第26回手塚治虫文化賞・マンガ大賞&短編賞を小学館作品が受賞!」※手塚治虫文化賞マンガ大賞・史上最年少受賞の根拠
- 日本科学史学会「第18回日本科学史学会学会賞が決まりました」※日本科学史学会特別賞の根拠
- MANTANWEB「魚豊:『チ。』〝不思議〟な最終章に込めたもの 『変な嘘をつきたかった』 フィクションとリアルの共犯関係」※作者発言の根拠
- リアルサウンド ブック「『チ。』最終章の『違和感』を解読――作者・魚豊が伝えようとした〝フィクションの力〟とは」※最終章の展開・違和感の整理の根拠
- リアルサウンド ブック「『チ。―地球の運動について―』の結末はなぜわかりにくい?」※結末の解釈と、ドゥラカの手紙・アルベルトの父に関する記述の根拠
- Wikipedia「チ。-地球の運動について-」※章立て・全話数・登場人物の立場に関する記述の補助
- TVアニメ「チ。 ―地球の運動について―」公式サイト※放送局・話数・制作・キャストの根拠
- アニメイトタイムズ「『チ。 ―地球の運動について―』第25話(最終話)あらすじ&場面カット」※最終話の放送日・サブタイトル・あらすじの根拠


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