いぬやしきの最終回・結末|隕石で終わる全10巻はひどい?

いぬやしき 最終回 ひどい 最終回

いぬやしきを調べはじめて最初に引っかかったのが、「犬屋敷さんは結局どうなったのですか」という問いに、どの資料も答えを出していないことでした。

『いぬやしき』は全85話・単行本全10巻で完結しており、打ち切りを示す情報は見つかりませんでした。最終回では、地球へ向かう巨大隕石に犬屋敷が単身で挑み、そこへ合流した獅子神が自爆し、残った破片を犬屋敷が自爆して砕きます。

地球は救われます。ただし、犬屋敷は戻りません。最終巻を読んだ複数のレビューは、家族と友人が2度目の爆発で最期を悟る場面を紹介しています。

「ひどい」と言われる理由の多くは、終盤の展開が読者の予想からいちど大きく外れることと、答えを出さずに幕を引く終わり方にあります。

  • 全10巻
    2017年9月22日に最終巻を発売
  • 全85話
    約3年半の連載で完結
  • 5つ
    「ひどい」と言われる理由

先に結末のあらすじを置き、そのあとで犬屋敷の生死、「ひどい」と言われる5つの理由、打ち切り説の検証、アニメ版・実写映画版との違いをたどります。

※この記事には『いぬやしき』原作漫画(全10巻)およびアニメ版・実写映画版の結末に関する重大なネタバレが含まれます。会話に登場する全巻くんはこの記事の案内役のキャラクターで、発言は創作です。

シラベエ
シラベエ

結論から知りたい方が多いと思うので、先に聞かせてください。犬屋敷さんは、生きているんでしょうか。

ここが分からないままだと、読後感が決まらない気がして。

検索候補にも「生きてる」と出てくるので、気にしている方は多いはずです。

全巻くん
全巻くん

帰ってくる場面は描かれないんだ。自爆したところまでが描かれて、そのあとは地上に移る。

そして家族と友人が、その爆発で何が起きたかを察して泣く場面が来る。

死亡を告げる台詞は出てこないけれど、生きて戻った描写もないよ。

いぬやしきの最終回はこう終わった|隕石をめぐる決着

最終回で描かれるのは、地球に迫る巨大隕石との決着です。核ミサイルでも軌道を変えられないと分かったあと、機械の体を持つ犬屋敷壱郎が単身で向かいます。

そこへ合流した獅子神皓とともに、2人が自らを爆発させて隕石を砕きます。先に答えておくと、打ち切りを示す情報は見つかりませんでした。連載は全85話まで続き、単行本も最終10巻まで刊行されています。

そのうえで「ひどい」と言われる背景には、次の3つがあります。

「ひどい」と言われる3つの背景
  • 物語の熱量の頂点が中盤の獅子神の暴走にあり、終盤の隕石編が別の物語に見えてしまうこと
  • 自爆で隕石を止めるという解決が、それまでの現実的な手ざわりから離れて感じられること
  • 犬屋敷の帰還が描かれないまま終わり、区切りの実感が薄いこと

まず押さえておきたいのは、この批判が「物語が途中で終わった」という意味ではないことです。

こうした声の背景には、機械の体を得た初老の男とひとりの高校生という設定に引き込まれた読者の、あの緊張感をもっと読みたかったという気持ちがあると考えられます。

そしてもう一つ、大事な前提があります。「いぬやしきの最終回」と呼ばれているものが、人によって指しているものが違うのです。

原作漫画とテレビアニメは同じ結末にたどり着きますが、実写映画は隕石そのものが登場せず、まったく別の幕引きになっています。映画だけを観た方と原作を読んだ方が「最終回」を語ると、話がかみ合わないのはこのためです。

隕石が登場するのは原作とアニメ、登場しないのが実写映画。この一点で見分けられます。

シラベエ
シラベエ

同じ作品名なのに、映画だけ結末が違うというのは意外でした。

感想を読むときに、どれの話かを見分ける手がかりはありますか。

全巻くん
全巻くん

隕石が出てくるかどうかで判別できるよ。出てくれば原作かアニメ、出てこなければ映画の話だね。

もう一つ、映画には原作にある終盤の展開そのものが入っていないんだ。

だから映画を観た人と原作を読んだ人では、最後に覚えている場面が違うんだよ。

いぬやしきは全何巻で完結した?全10巻・イブニング連載の全85話

『いぬやしき』は奥浩哉さんによる作品です。連載は講談社の漫画雑誌イブニングで、2014年1月28日発売の2014年4号から始まりました。

余命を告げられた初老のサラリーマンが機械の体を得るという、青年誌としても異色の出だしを持つ作品です。

いぬやしきは全85話・単行本全10巻で完結しました。連載は2017年16号(2017年7月25日)で終わり、最終第10巻は2017年9月22日に発売されています。

講談社の製品ページは、第10巻の紹介に「堂々完結」と記しています。

項目内容
作者奥浩哉
掲載誌イブニング(講談社)
連載期間2014年1月28日〜2017年7月25日(約3年半)
全話数全85話
単行本全10巻(イブニングKC)
最終巻の発売日2017年9月22日(紙・電子とも)
最終巻の仕様186ページ/定価649円(本体590円)
最終巻の初出『イブニング』2017年9号〜16号
テレビアニメ2017年10月〜12月・全11話
実写映画2018年4月20日公開

全10巻という巻数は、いまの青年漫画としてはコンパクトな部類に入ります。連載期間は約3年半で、単行本1巻あたりおよそ8話から9話が収められている計算になります。

誤解のもとになりやすいのは、最終巻の発売が連載終了の約2か月後だった点です。アニメの放送が始まったのは、その翌月にあたります。

原作の完結とアニメ化がほぼ同じ時期に重なったため、「原作はまだ続いているのでは」と受け取られることがあります。実際には全10巻ですでに完結済みです。

いま読むなら、紙の単行本でも電子書籍でも全10巻がそろいます。最終巻は186ページ、定価649円(2026年9月時点)です。

シラベエ
シラベエ

3年半の連載で全10巻というのは、思ったより薄いという印象を持ちました。

巻数が少ないぶん、話が駆け足になっていたりはしないのか教えてください。

全巻くん
全巻くん

休みの日が1日か2日あれば読み切れる量だよ。

3年半の連載にしてはぎゅっとしていて、寄り道の回がほとんど入っていないんだ。

途中で止まりにくい作りだと思う。

いぬやしき最終回のネタバレ|結末のあらすじ

最終盤の物語は、巨大隕石の接近から始まります。各国が対応にあたるものの、核ミサイルでも軌道を変えられないと判明し、人類に打つ手がなくなります。

この章で追う3つの場面
  • 犬屋敷の出発と、獅子神皓の自爆
  • 犬屋敷壱郎の自爆と、家族に残した最後の言葉
  • 地球に戻った日常と、残された人たちのその後

この順に見ていけば、最終回の全体像がつかめます。

犬屋敷の出発と、獅子神皓の自爆

先に隕石へ向かったのは、主人公の犬屋敷壱郎でした。娘が涙ながらに止めようとしても、覚悟は変わりませんでした。

そのまま宇宙へ発ちますが、単身では巨大な隕石を破壊しきれず、手段が尽きかけます。

そこへ現れたのが獅子神皓です。ただし、最初に自らを爆発させたのは獅子神のほうでした。彼は自分が持つ演算能力で、自爆すれば隕石の軌道を変えられると判断します。

物語の前半で無差別に人を殺していた高校生が、最後には人類のために自分を使う側へ回る。この反転が、いぬやしきという作品の一つの到達点です。

彼はこのとき、自分にも死んでほしくない人がいることを打ち明けています。動機は本人の一言で示されるだけで、それ以上は語られません。

しかし、その自爆だけでは隕石を消し去ることはできませんでした。軌道は変わり、塊は小さくなったものの、地球に届く破片は残ります。残った破片を砕く役目は、犬屋敷壱郎に託されます。

この「一度では足りなかった」という描き方が、後の批判の一つにつながっていきます。読者の側からすると、計算で導いた解決策が結果として不十分だったことになるためです。

犬屋敷壱郎の自爆と、届かなかった別れ

その役目を引き受けたのが、主人公の犬屋敷でした。機械の体を与えられたのは人を助けるためだ、という答えにたどり着いていたと読める描き方です。

最終巻のレビューによれば、犬屋敷は安堂にも告げずに自爆スイッチを押します。家族に別れを告げないまま、という描き方です。この場面を印象に残る場面として語る受け止め方があります。

そして2度目の爆発が起こり、隕石の脅威は取り除かれます。地上からは、その光だけが見えていました。

何が起きたのかを知っているのは、犬屋敷の家族と、獅子神の事情を知る友人など、ごく限られた人たちだけです。人知れず世界を救った2人が、誰にも知られないまま終わる。この構図が、最終回の骨格になっています。

地球に戻った日常と、残された人たち

爆発のあと、物語は静かな日常に戻ります。世界は隕石が去ったことを知り、人々はいつもの生活を再開します。

ここで描かれるのは英雄の凱旋ではなく、何も知らないまま続いていく日常です。その片隅で、犬屋敷の家族のその後が短く描かれます。

父が何をしたのかを知ったうえで、それぞれが前へ進んでいく姿です。具体的な描写は次の章で扱います。

この静けさが、最終回の後味を決めています。世界を救った2人の名前は、どこにも残りませんでした。

段階内容
1巨大隕石の接近が判明し、核ミサイルでも軌道を変えられないと分かる
2犬屋敷壱郎が娘の制止を振り切り、単身で隕石へ向かうが破壊しきれない
3獅子神皓が現れ、自分にも死んでほしくない人がいると明かして自爆する
4隕石は砕けるが地球に届く破片が残り、犬屋敷も自爆してこれを砕く
5地球は救われる。地上に見えたのは2度の光だけ
6日常が戻り、犬屋敷の家族がそれぞれの道を歩き出す
シラベエ
シラベエ

順番を取り違えて覚えている人が多そうな場面だと感じました。

先に自爆したのはどちらなのか、もう一度確かめさせてください。

全巻くん
全巻くん

1回目が獅子神で、2回目が犬屋敷さんだよ。

見落とされやすいのは、獅子神の起爆スイッチを押したのが犬屋敷さんだということ。

両腕を失っていた獅子神が、自分では押せなかったんだ。

犬屋敷は生きてる?ラストシーンの意味と家族のその後

「いぬやしき 最終回 生きてる」という言葉で検索する方が多いのは、この作品の最終回が犬屋敷壱郎の帰還を描かないまま終わるからです。

この章で分けて見るもの
  • 作中で描かれたこと(=断定してよい事実)
  • 資料に見当たらないこと(=この記事が言えない範囲)
  • 家族のその後として描かれたもの

事実と、資料に無いことを混ぜないのが、この章のいちばんの目的です。

作中で描かれたこと

描かれているのは、2度の爆発によって隕石の脅威が取り除かれたこと、そして地球が救われたことです。

地上の人々には空の光だけが見え、その正体を知る者はごく少数でした。犬屋敷が破片へ向かい、自らを爆発させたことも描写されています。

獅子神が先に自爆したこと、それだけでは足りずに破片が残ったこと、犬屋敷がその破片へ向かったこと。ここまでは順番も含めて描かれています。

そしてもう一つ、最終巻を読んだ複数のレビューが共通して紹介している場面があります。2度目の爆発を受けて、犬屋敷の家族と友人の安堂が事態を察し、号泣する場面です。

つまり作中では、身近な人たちが犬屋敷の最期を受け止めるところまで描かれています。ここを飛ばすと、この章の判断材料が足りなくなります。

資料に見当たらないこと

一方で、帰還の場面はありません。遺体の描写も、本記事が当たった資料の範囲では紹介されていません。

「犬屋敷は死亡した」と作中で明言する台詞についても、同じく見当たりませんでした。作品は、はっきりした宣告を置かずに幕を下ろします。

ただし、そのことは生存を示す描写があるという意味ではありません。生きて戻ったことをうかがわせる場面は、本記事が当たった範囲では見つけられませんでした。

「生きているのか」という問いへの答えとしては、明言はないが家族が最期を受け止める場面が描かれている、というのがいまのところ正確な形です。

作中の扱い内容
描かれている犬屋敷が破片へ向かい、自爆する場面
描かれている2度目の爆発を受けて、家族と安堂が事態を察して号泣する場面
描かれている家族がそれぞれ前へ進んでいくその後
見当たらない帰還の場面・遺体の描写・死亡を明言する台詞
見当たらない生きて戻ったことをうかがわせる描写

作者や編集部が結末について説明した資料も、本記事では見つけられませんでした。公式の答えとして示せるものはありません。

家族のその後として描かれたもの

家族のその後は具体的に描かれています。娘は漫画で賞を受け、息子は自分の足で立つ姿を見せます。

父が何をしたのかを知ったうえで、それぞれが前へ進んでいく描写です。真相を知るのは家族と安堂を含むごく限られた人だけで、外に語ることはできません。

本人の帰還が描かれなくても、彼が家族に何を残したのかははっきり描かれています。最終巻の読後感を決めているのは、この部分だと考えられます。

シラベエ
シラベエ

宣告の台詞を置かなかったことに意味がある、と読む人もいるようです。

全巻くんから見て、そこはどう映りますか。

全巻くん
全巻くん

ここからは想像だけど、言葉で言い切らないほうが家族の場面が生きると思うんだ。

お父さんは死にました、と書いた瞬間に、あの静かな日常が追悼の場面に変わってしまう。

察して泣く場面を置くだけにしたのは、そのためだとわたしは受け取っているよ。

いぬやしきの最終回が「ひどい」と言われる5つの理由

「ひどい」と言われる理由は一つではありません。実際には、性質の異なる5つの不満が同じ言葉でまとめて語られています。

この章で扱うのは、結末が同じ原作とテレビアニメに向けられた声です。結末が別物になる実写映画は、次の章で分けて見ます。

批判されるポイント主な内容評価の対象
物語の頂点が中盤にある獅子神の暴走が最も緊張感が高く、その後が落ちて見える全体の構成
隕石展開が唐突に見える身近な恐怖を描いていた作品が、急に地球規模の話になる終盤の展開
自爆で隕石を止める理屈計算どおりにいかず、2度目でようやく解決する流れ最終盤の解決方法
宇宙人の来歴と目的が語られない機械の体を与えた宇宙人がどこから来て何をしていたのかが説明されない世界観
結末の意味がわからない犬屋敷の帰還が描かれず、説明が置かれないまま終わる最終回の演出

どれも作品全体を否定するものではなく、終盤の見せ方に向けられた声である点は共通しています。一つずつ見ていきます。

理由1:物語の頂点が中盤にあること

いぬやしきでよく語られるのは、獅子神皓が力を私的に使い始める中盤です。日常のすぐ隣で圧倒的な暴力が振るわれる緊張感が、この作品の看板になっていました。

そのため、終盤の隕石編に入ると「作品の熱が下がった」と感じる読者が出てきます。これは物語の質が落ちたというより、読者が惹かれていた要素が終盤で別のものに切り替わったことによる落差だと考えられます。

同じ現象は、身近な恐怖から始まって世界規模に広がるSF作品全般で起こりやすいものです。読者が何を面白いと感じていたかによって、評価が正反対に割れる部分でもあります。

中盤の獅子神を目当てに読んでいた人にとっては、終盤は別の作品が始まったように映ります。逆に、犬屋敷の物語として読んできた人には、終盤こそが着地点になります。

理由2:隕石展開が唐突に見えること

2つ目は、隕石という題材そのものへの違和感です。それまでの物語は、無力な老人が力を得る話であり、力を得た高校生が暴走する話でした。軸にあったのは人間同士の話です。

そこへ地球規模の災害が入ってくるため、別のジャンルに乗り換えたように感じる読者が出てきます。特にアニメから入った方は、話数が限られていることもあって、この切り替わりを急に感じやすいところです。

ただし、機械の体という設定そのものが宇宙人によってもたらされたものである以上、話が人間の範囲を超えていくこと自体は不自然ではない、という見方もできます。

最初の一話で宇宙人が出てきている作品なので、地球規模の話に届くこと自体は伏線の外ではありません。唐突に感じるかどうかは、そこをどれだけ覚えていたかにもよります。

理由3:自爆で隕石を止める解決への疑問

3つ目は、解決の手段に対する疑問です。獅子神は自らの演算で自爆が有効だと判断しますが、結果として一度では足りず、犬屋敷がもう一度自爆することで決着します。

高い計算能力を持つ設定のキャラクターが出した答えが、結果的に不十分だったことになるため、引っかかりを覚えやすい箇所です。

一方で、計算どおりにいかなかったからこそ2人目が必要になり、犬屋敷の選択に意味が生まれたという構成上の読み方もできます。どちらの読み方を取るかで、この場面の評価は逆になります。

獅子神の計算が完璧だったなら、犬屋敷は宇宙まで行って何もせずに帰ることになります。物語としては、そこで終われなかったとも言えます。

なお、獅子神の起爆スイッチを押したのは犬屋敷でした。両腕を失っていた獅子神は、自分では押せなかったと最終巻のレビューは伝えています。

理由4:宇宙人の正体は描かれても、来歴と目的が語られないこと

4つ目は、世界観の説明不足です。ここは誤解されやすいので、先に分けておきます。

物語の冒頭で、犬屋敷と獅子神は小さな宇宙人が起こした事故に巻き込まれ、その宇宙人たちの手で機械の体として作り直されます。つまり「誰が機械の体を与えたのか」は作中で描かれており、そこは謎のままではありません。

語られないのはその先です。宇宙人がどこから来て何を目的にしていたのか、なぜ元に戻せなかったのかは、最後まで説明されません。この空白があるため、伏線が回収されていないと受け取られることがあります。

もっとも、作中で厚く描かれるのは、超常的な力を得た人間がどう生きるかという部分です。力の出どころの解明が主題として描かれていない、と受け取ると見え方は変わってきます。

理由5:結末の意味がわからないと言われる理由|考察の分かれ目

5つ目は、結末の意味が読者に委ねられていることです。これはここまでの4つと性質が違います。

特定の場面への不満ではなく、作品が答えを示さない箇所がいくつも重なっていることから生まれる引っかかりです。

理由4で触れた宇宙人の来歴と目的、そして犬屋敷がそのあとどうなったのか。作品はこのどれにも説明を置かないまま幕を下ろします。

明かされない点が一つだけなら「余韻」で受け止められます。しかし複数が同時に残ると、読者は自分で全体を組み立て直すことになります。

同じ最終回を読んでも受け止め方が人によって分かれるのは、この積み重なりが理由だと考えられます。こうした余白を「考えさせる終わり方」と評価する読者と、「投げっぱなし」と受け取る読者がいます。

どちらが正しいという答えは、作中にも公式の説明にも見つけられませんでした。犬屋敷の生死とラストシーンの2つの読み方は、前の章で分けて並べています。

5つのうち4つは、終盤の見せ方に向けられた声です。理由4だけは第1話からある世界観の空白への声で、性質が違います。

いずれも、物語が壊れているという指摘ではありません。

シラベエ
シラベエ

5つ並べてみて、どれも作品が壊れたという話ではないように読めました。

それでも読後にもやもやが残るのは、どう考えればいいのでしょう。

全巻くん
全巻くん

そのもやもやは、否定しなくていいと思うよ。

5つのうちどれに引っかかったのかが分かるだけでも、自分の感想の形がはっきりしてくる。

全部が引っかかる人は、たぶんこの作品の前半がとても好きだった人だね。

いぬやしきは打ち切りだった?よくある誤解を検証

最終回が急だったと感じた読者から、打ち切りだったのではという声が出ることがあります。ここでは、よく見かける説と実際の記録を並べます。

よくある説実際
途中で打ち切られた全85話・全10巻まで刊行され、講談社の製品ページにも「堂々完結」と記されている
単行本が途中で止まった連載終了の約2か月後に最終第10巻が発売されている
人気がなかったから終わった連載終了の直後にテレビアニメが放送され、翌年には実写映画が公開された
原作はまだ続いている2017年に完結済み。2026年9月時点で続編の連載は発表されていない

打ち切りという言葉が出てくる背景には、終盤の展開が急に感じられることがあります。物語の空気が変わることと、連載が止められることは別のできごとです。

実際の記録を見ると、全85話まで連載され、最終第10巻まで刊行されています。2017年7月に原作が完結し、同年10月にテレビアニメ、2018年4月に実写映画が公開されました。

もう一つ、結末について作者や編集部が説明した資料も本記事では見つけられませんでした。公式の答えとして示せるものはない、というのが現状です。

シラベエ
シラベエ

打ち切りかどうかを、読者の側から見分ける方法はありますか。

噂だけが先に目に入ってくるので、判断の手がかりが欲しいところです。

全巻くん
全巻くん

最終巻がちゃんと出ているか、完結の表記があるか。まずはこの2つだね。

いぬやしきはどちらも当てはまるよ。

打ち切りの公表があったかどうかも見てほしいな。この作品では見つかっていないんだ。

アニメ版・実写映画版の最終回はどう違う?

「ひどい」という言葉は、原作の最終回だけに向けられているわけではありません。アニメ版と実写映画版にも、それぞれ別の理由で同じ言葉が使われています。

媒体公開・放送収録・映像化の範囲結末
原作漫画2014〜2017年全85話・全10巻(本編すべて)隕石を2人の自爆で砕く。犬屋敷の生死は明示されない
テレビアニメ2017年10月〜12月・全11話原作の最終回まで(終盤は圧縮)原作と同じ結末にたどり着く
実写映画2018年4月20日公開原作の一部を再構成隕石は登場せず、別の幕引きになる

テレビアニメは全11話で原作の最終回まで描いており、結末を知るために原作の続きを読む必要はありません。第11話「地球の人たち」が隕石編にあたり、原作と同じ結末を迎えます。

ただし、全85話ぶんの物語を11話に収めています。1話あたりおよそ8話ぶんを進める計算になり、終盤ほど展開が速くなります。

一方、実写映画は方向性が異なります。隕石そのものが登場せず、獅子神との決着で物語が閉じます。そのため、映画を観てから原作を読むと結末がまったく違って見えます。

映画の最後は、右腕を失った獅子神が安堂の部屋を訪ねる場面として紹介されています。これを幻覚と読む説もあると、映画のレビュー記事は伝えています。

つまり、「いぬやしきの最終回がひどい」という言葉を見かけたときは、どの媒体の話なのかをまず確かめると噛み合います。原作とアニメは同じ結末、映画だけが別物です。

シラベエ
シラベエ

アニメは全11話で原作の最終回まで描いている、というのは意外でした。

途中で終わって続きは原作で、という形ではないんですね。

全巻くん
全巻くん

最後まで映像化されているよ。だから結末を知るために原作を買い足す必要はないんだ。

ただ、85話を11話に畳んでいるから、通り過ぎる場面はどうしても出てくる。

気になった場面があったら、そこだけ原作で読み直す手もあるね。

「ひどい」だけじゃない|隕石展開を評価する声

「ひどい」という言葉で検索すると否定的な意見が目立ちますが、同じ場面を高く評価している読者もいます。争点は共通していて、受け取り方だけが分かれています。

論点「ひどい」と感じた理由「良い」と感じた理由
隕石展開身近な話から急に地球規模になった力を得た者が最後に何をするかという主題の到達点になっている
2人の自爆計算が外れて2度必要になったのが不自然獅子神だけでは足りなかったからこそ、犬屋敷の選択に意味が生まれる
生死の未描写答えを出さずに終わって消化不良読者に委ねる余白として意図された終わり方
誰にも知られない結末報われなさが後味の悪さになる誰にも知られない自己犠牲だからこそ強い
獅子神の反転殺人を重ねた人物が救済されるのは納得しにくい善悪で割り切れない人間像として一貫している

争点は同じで、演出の受け取り方によって評価が分かれています。とくに割れやすいのが、獅子神皓というキャラクターの扱いです。

前半で無差別に人を殺した人物が、最後に人類を救う側へ回る。この振れ幅を受け入れられるかどうかが、評価の分岐点になっています。

また、犬屋敷が家族に残した最後の言葉を、この作品のいちばんの見どころとして語る受け止め方もあります。

余命を告げられた冴えない初老の男が、誰にも知られないまま世界を救って消える。この構図そのものを評価する声も見られます。

シラベエ
シラベエ

賛否が同じ場面に集まっているというのは、めずらしいことなのか気になります。

論点がずれていない、ということですよね。

全巻くん
全巻くん

賛否が割れる作品は、実は争点がそろっていることが多いんだ。

同じ場面を見て、余白と受け取るか物足りなさと受け取るか。

いぬやしきはその差がとくに分かりやすく出ているね。

いぬやしきは今から読む価値がある?全10巻・約3年半の短さ

全10巻で完結しているので、いま読み始めても最後まで通して読めます。連載は約3年半で、続きを待つ必要はありません。

向いている人向いていない人
短い巻数で読み切れる作品を探している人すべての設定に説明がないと落ち着かない人
善悪で割り切れない人物像が好きな人明確なハッピーエンドを求めている人
日常のすぐ隣にある暴力を描いた作品が好きな人暴力表現やグロテスクな描写が苦手な人
アニメを見て原作の描写を確かめたい人主人公が最後まで報われる物語を読みたい人

読む順番についても触れておきます。アニメは原作を最後まで描いているため、どちらから入っても結末に差はありません。

ただし原作は全85話、アニメは全11話です。同じ結末でも、そこに至るまでに使われている枚数が違います。

実写映画から入った方は、前提が一つ変わります。映画の結末は原作と別物なので、原作を読むと知らない展開が待っています。これは欠点ではなく、もう一つのいぬやしきを読めるということでもあります。

暴力描写については、先に書いておきます。この作品には人が理不尽に殺される場面が繰り返し出てきます。苦手な方には勧めません。そこを受け止められる方にとっては、記憶に残る作品になるはずです。

シラベエ
シラベエ

原作とアニメ、どちらから入るのがいいのか迷う方も多いと思います。

順番で後悔しにくいのはどちらでしょうか。

全巻くん
全巻くん

原作から入るのがいちばん素直だと思うよ。全85話ぶんがそのまま入っているからね。

アニメを先に見ても結末は同じだから、そこは損しないよ。

順番で後悔しにくいのは、この作品の親切なところだと思う。

よくある質問

Qいぬやしきは全何巻で完結しましたか?
A全10巻・全85話で完結しています。最終第10巻は2017年9月22日発売です。連載は講談社のイブニングで、2014年1月から2017年7月まで続きました。
Qいぬやしきの最終回はどんな結末でしたか?
A地球へ向かう巨大隕石を止めるため、獅子神皓と犬屋敷壱郎が相次いで自爆し、隕石を砕きます。その事実を知るのはごく限られた人たちだけでした。
Q犬屋敷は最終回で死んだのですか?生きているのですか?
A死亡を明言する台詞はありません。ただし帰還も描かれず、家族と友人が2度目の爆発で最期を悟って号泣する場面が描かれます。
Qいぬやしきは打ち切りだったのですか?
A打ち切りを示す情報は見つかりませんでした。全85話・全10巻まで刊行され、連載終了の直後にアニメ、翌年には実写映画が公開されています。
Qアニメは原作の何巻まで描かれましたか?
Aアニメ全11話で原作の最終回まで描いています。第11話「地球の人たち」が最終回にあたり、結末を知るために原作の続きを読む必要はありません。
Q実写映画の結末は原作と同じですか?
A異なります。実写映画には隕石が登場せず、獅子神との決着で物語が閉じます。映画を観てから原作を読むと、終盤の展開はまったく違うものになります。
Q最終回の意味がわからないと言われるのはなぜですか?
A宇宙人の来歴と目的、そして犬屋敷のその後という2つの空白が同時に残るためです。説明を置かないまま幕が下ります。
Q獅子神はなぜ最後に人類を助けたのですか?
A作中では、自分にも死んでほしくない人がいることを終盤で本人が打ち明けています。動機はその一言で示されるだけで、それ以上は語られません。

まとめ|いぬやしきの最終回と結末【全10巻】

『いぬやしき』の最終回は、地球へ向かう巨大隕石を、機械の体を持つ2人が自らを爆発させて砕く物語です。犬屋敷壱郎が単身で挑んだのち、合流した獅子神皓が先に、続いて犬屋敷が自爆し、地球は救われます。

その事実を知る者は、ごくわずかでした。世界を救った2人の名前は、どこにも残りません。

「ひどい」と言われる理由は5つに分けられます。物語の頂点が中盤にあること、隕石展開が唐突に見えること、自爆で解決する理屈への疑問、宇宙人の目的が語られないこと、そして結末の意味が委ねられることです。

いずれも作品が破綻したという意味ではなく、終盤で作品の性質が切り替わったことへの反応だと考えられます。

よく語られる打ち切り説ですが、打ち切りを示す情報は見つかりませんでした。全85話・全10巻まで刊行され、完結の直後にアニメ、翌年には実写映画が続いています。

媒体ごとの違いも押さえておきたいところです。アニメ全11話は原作の最終回まで描いており、結末も同じです。実写映画だけは隕石が登場せず、別の幕引きになります。

そして最大の関心事である犬屋敷のその後は、帰還として描かれません。死亡を明言する台詞はありませんが、家族と友人が最期を悟って号泣する場面が置かれています。

賛否のどちらも、この作品を最後まで読んだ人の自然な受け止め方です。全10巻という短さですから、気になった方はご自身の目で確かめてみてください。

シラベエ
シラベエ

調べ終えて残ったのは、作品が言葉で言い切らなかった、という手ざわりでした。

それでも読者に伝わるものはある、ということでしょうか。

全巻くん
全巻くん

宣告の台詞がなくても、家族が泣く場面があれば伝わるからね。

言葉にしないほうが残る、ということは物語ではよくあるんだ。

そこを確かめに行くなら、10巻の最後の数ページだけでも読む値打ちがあるよ。

調査メモ

この記事でいちばん手こずったのは、犬屋敷のその後をどう書くかでした。旧稿は「必ず戻る」という台詞を根拠に、生存を望む読み方と並べて書いていました。

ところが、最終巻のレビュー3件に当たり直したところ、その台詞は見つかりませんでした。代わりに3件とも、家族と安堂が2度目の爆発で最期を悟って号泣する場面を紹介していました。

そこで本文を、資料で裏づけられる形に組み直しています。死亡を明言する台詞は見当たらない、帰還も描かれない、生存をうかがわせる場面も見つからない、という3点です。

書き直しの途中で気づいたのが、旧稿の出典の1件が媒体名を取り違えていたことです。「講談社 K MANGA」と書いてありましたが、実際にはまんが王国のページでした。

そこで講談社の製品ページに差し替え、発売日・ページ数・定価・初出(『イブニング』2017年9号〜16号)を取り直しています。

最終話のサブタイトルについても触れておきます。個人ブログでは複数の記述が一致していましたが、公式の資料では確認できませんでした。そのため本文には書いていません。

結末の描写については、最終巻を読んだ個人ブログ3件の記述を突き合わせて書きました。原作の現物には当たれていません。

出版社の資料で裏が取れたのは、発売日・巻数・ページ数・定価・初出までです。物語の中身を支えているのは個人ブログで、そこは弱いところとして書き残しておきます。

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました